「ロールオーバーって聞きなれないけどなんなの?」
「ロールオーバーすべき人とすべきでない人の状況をだれか教えてー!」
と心から叫びたい方にぜひ見ていただきたい記事です!

この記事では「ロールオーバーとは何か」についてから、実際のNISAでの取引状況別に、あなたが本当にロールオーバーすべきかなのか、他の手段を取るべきなのかを解説していますので是非参考にしてみてください。

初心者の方からNISAの非課税期間についてある程度ご存知の方まで役に立つように、ロールオーバーの基本から複雑な部分までこの記事で丁寧に説明します。

そもそもNISAとは?超簡単に解説!

NISA(少額投資非課税制度)とは、運用で出た利益が非課税になる制度です。NISAの非課税期間は最大で5年しか利用できず、5年目の12月をもって使用しているNISA口座の非課税期間が満了します。

ロールオーバーとは

NISAの非課税期間は5年です。
ロールオーバーとはNISAの5年間の非課税期間が満了後、追加で5年間非課税で投資ができる制度です。ロールオーバーをすることで翌年の保有している有価証券をNISA枠に移すことにより、非課税期間を最大10年まで延長することができます。

出典:楽天証券

つまりロールオーバーとは「非課税期間の延長」と覚えておくと良いでしょう。

りな先生(デフォルト)

りな先生

ロールオーバーをすることによって得られるメリットやデメリットがあるわ!次章以降を参考にロ-ルオーバーを検討する際は十分に注意してね!

ロールオーバーのメリット

非課税期間を延長できる

ロールオーバーの最大のメリットは、先述の通り非課税期間を延長することで最大10年間も非課税期間で資産運用ができることです。

このようにNISA満了後もロールオーバーをするメリットは大きいです。

非課税延長の注意点

NISAの非課税投資枠は120万円ですが、2017年の法改正によって保有している株が120万円を超える場合もロールオーバーができるようになりました。
今後株価が上昇して利益がより増えたとしてもロールオーバーをしていれば非課税になり続けます。

ただしここで1点注意すべきことが、翌年の非課税投資枠をすべて使用してしまうので翌年は新たに非課税枠で株や投資信託を購入できないという点です。

150万円をロールオーバーする場合は「非課税投資枠120万円 – 150万円 = -30万円」となります。
つまり非課税投資枠を使い切ることになるので翌年はNISA口座で金融商品を購入することができなくなります。

ゆうた(悩む)

ゆうた

NISA口座に150万円分があるんだけど、60万円分だけロールオーバーすることってできるの?


りな先生(ワンポイント)

りな先生

資産の一部のみをロールオーバーすることができるわ!
今後の上昇の見込める株式を絞ってロールオーバーするのは有効ね!

含み損の出ている金融商品の節税

非課税期間終了の際に、現在は含み損を抱えている株の中で今後成長しそうなものについては、ロールオーバーすることで損をしないように節税することができます。

将来性を感じ取得した株が値下がり、含み損を抱えてしまったときについて考えていきましょう。
①課税口座に移した場合②ロールオーバーをした場合の2つの場合に分けたイラストが下記になります。

イラスト①は含み損を抱えたまま課税口座に移管した場合です。
この場合課税口座では「移管された時点の評価額の50万円」が株の購入金額とみなされます。
なので課税口座移管後に株価が上昇した際は、上昇した30万円が利益と見なされ20.315%の課税されます。
この場合だともともと取得した価格に戻ったものの、課税されることで結果損失を出してしまいます。

イラスト②では、含み損を抱えロールオーバーをした場合です。
この場合は同じく「移管された時点の評価額50万円」で株を取得したことになります。
しかし、ロールオーバーで非課税期間が延長されているので上昇した30万円は課税は一切されません。

含み損が出ていたとしても今後の成長性の感じる株であればロールオーバーをして繰り越すことで課税を逃れることが良い選択だといえます。

ロールオーバーのデメリット

ロールオーバーのデメリットはNISAのデメリットと共通しています。
NISAで挙げられる主な2つのデメリットを紹介します。

損益通算ができない

損益通算とは、課税口座で株式取引をする場合に利益と損失を通算して節税することです。
課税口座であれば損益通算ができます。しかし、NISAは非課税というメリットと相殺するため損益通算ができないというデメリットを持っています。そのためほかの課税口座と併用する場合は注意しなければなりません。

損失繰越ができない

損失繰越とは、株式や投資信託の売却により損失が出た時にその損失を3年間繰り越すことで3年の間に出た利益と損失を相殺できる制度です。
NISAは損失繰越をできないので、損失を出してしまった場合は将来への繰越を行うことができず無駄な税金を払ってしまう場合があります。

NISAの詳しいデメリットに関してはNISAのデメリットと注意点を徹底解説!を参照ください。

ロールオーバーすべき場合

りな先生(ワンポイント)

りな先生

この2つのうちどれかに当てはまれば、ロールオーバーをすべきね!

①保有株が今後価格上昇が見込める
②インデックス型の投資信託をNISAで運用している

①保有している株が今後価格上昇が見込める

保有している株が今後上昇が見込める場合はロールオーバーするべきです!
含み益や含み損に関わらず上昇見込みがあれば、ロールオーバーで上昇した際の利益を非課税にすることができるからです。
含み損の出ている金融商品の節税でも紹介した通り、課税口座にしてしまうと、上昇したとしても税金分の損をしてしまうことがあります。今後上昇が見込めるのであればロールオーバーの非課税という利点を存分に活かすべきでしょう。

②インデックス型の投資信託をNISAで運用している

インデックス型の投資信託をNISAで運用しているときも、ロールオーバーがおすすめです。その理由はインデックス型の投資信託は長期運用になるほど運用実績が向上しリターンが大きくなる傾向にあるからです。
下記はインデックス型の投資信託の運用実績です。

  

実質信託報酬 1年リターン 5年リターン 10年リターン
インデックス型平均 0.62% -5.2% 7.9% 10.7%
うち日経平均連動 0.73% -1.7% 8.8% 12.1%
うちJPX日経400連動 0.62% -8.7% 8.8%
うちTOPIX連動 0.5% -7.5% 7.5% 9.5%
出典:QUIK資産運用研究所調べ

投資信託は長期運用をするほどリターンが大きくなり、10年リターン利益が最も大きくなります。
ロールオーバーすることで投資信託を継続し、長期運用による最大利益と利益に対する非課税という2つのメリットを得ることができます。

ロールオーバーすべきではない場合

りな先生(デフォルト)

りな先生

ロールオーバーをすべきでない場合はこの2つのどちらかよ!

①ロールオーバー後に株価が値下がりそうである
②非課税投資枠がないが、新たな投資をしたい

①ロールオーバー後に株価が値下がりそうである

株価下がりそうな場合はロールオーバーのメリットである利益に対する非課税が全く活かせません。
ロールオーバーするとなると損失を増幅させてしまう可能性がある上に余計な手続きが必要になります。

その株に心残りがあるにしても、非課税期間の満了までに売却することが賢明です。
含み益が出ているのであれば利益を確定させること、含み損を抱えていたとしてもこれ以上損失を出さないため非課税期間内に潔く損切りをしましょう。

②120万円ロールオーバー後、新たな投資をしたい

非課税延長の注意点で120万以上のロールオーバーでも説明したとおり、ロールオーバーは120万円以上でも可能ですが、翌年の非課税投資枠が0円になります。
非課税投資枠が0円の場合新規投資を行うことができず、投資が制限されてしまいます。
ですので今後多くの資金で運用したいのであればロールオーバーをするのではなく、課税口座に移して運用を行いましょう。

このように状況によってはロールオーバーをすべきではない場合もあります。
ロールオーバーではない選択をする場合は詳しくはNISAはいつまで非課税期間が続く?期限後すべきこととは!を見直してください。

ロールオーバーできないケース

①つみたてNISAを利用している
②金融機関を変更
③2024年以降

上記の3点の場合はロールオーバーはできません。

特に注意をしなければならないのは③2024年以降はロールオーバーはできないという点です。

NISAは投資の敷居を下げるために国が主導で行っている制度です。そのためNISAにはある程度の制限があり、NISAを利用できるのは2014年~2023年の10年間であり、この10年の期間であれば非課税期間として金融商品を購入できます。
NISAを利用できるのが2023年までなのでそれ以降のロールオーバーをすることができません。

ロールオーバーには手続きが必要

ロールオーバーは必ず締切までに手続きが必要があります。
金融機関によって締切が違っています。ロールオーバーに興味があるのであれば、自分が利用している証券会社のホームページなどでロールオーバーの手続きの締切を確認しておく必要があります。
多くの金融期間は9月頃から手続きの受付を始めます。

手続きを期限までに済ませることができなければ特定口座があれば特定口座に自動で移管されます。特定口座がなければ一般口座に移管されます。

金融機関によっては通知がない場合もあるので手続きは忘れず行いましょう。

まとめ

ロールオーバーは非課税期間が5年間延長できるという点で優れています。
ロールオーバーを検討する際は①今後も少額で投資を行うのか、②将来上昇しそうな株を保有しているのか、という2点を考えてましょう。もし①②に合致するのであればロールオーバーをオススメします。

また手続きの詳細や期限は金融機関のホームページの要確認をしてください。
ロールオーバーについて後悔がないよう計画的に準備を行ってください。