「IPOは儲かるって本当?」
「保有したほうが良い?」
「初値売りが儲かる?」

初心者の方はIPOをいつのタイミングで売れば良いのかわからないですよね。
本記事では「初値売りのやり方」「公募価格割れする銘柄の見つけ方」「初日に初値が付かなかった場合の対処」「初値で売らない場合の方法」等を徹底解説していきます。

初値売りとは?

まず、株式を売るための注文方法は2つあります。
1つ目は○円で買う(売る)と価格を指定して買う、指値(さしね)注文です。
2つ目はその時々の市場でついている値段で買う(売る)、成行(なりゆき)注文です。
指値注文は売買する値段を重視した注文、成行注文は約定(株取引が成立)までのスピードを重視した注文です。

IPOは成行注文を出す必要がある

IPO株は未上場企業の株なので初値(初めてつく価格)以前の市場価格が存在しないので、初値が付く前に成行の売り注文を出しておけば、上場1日目(初値が付いた瞬間)にその値段で株取引が成立します。
よってIPOは成行注文を出す必要があります。

初値売りが儲かる理由とは?

先程お伝えした通り未上場企業が上場した初めての株価を初値といいます。
「IPO株は初値売りで儲けることができる」というのを多くの方は聞いたことがあると思います。
では、初値売りが儲かる理由は何なのでしょうか?

それは、IPO株は売れ残りを恐れて公募価格が割安なことが多いからです。

IPOでは供給が新規公開株式数に限定されているにも関わらず、その銘柄や業績への期待感・セカンダリーマーケット(セカンダリーマーケットについては後ほど詳しく説明)狙いの投資家が原因で需要が供給より高くなり、多くのIPO株は公募価格よりも値上がりします。
株価は需要と供給のバランスで決まるので、このような需要と供給の不均衡が株価を吊り上げる原因となります。

したがって、上場して初値がついてからすぐの間は投資機関が短期間で利益をあげようとするため値動きが激しくなります。パソコンの前を数分離れている間に株価が大きく動くということも十分ありえます。
株価が激しく動く中で高値で売却するのはかなり難易度が高いので勝率(利益が出る確率)90%の初値売りが推奨されています。

初値売りだと勝率90%って本当?

実際に勝率の高さを検証してみました。
2018年には東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックを合わせて89社のIPOがあったのですが、その内、初値が募集価格を上回った案件は79社に上ります。初値売りを行った場合の勝率は88%と言った結果でした。
2019年はどうでしょうか?
auカブコム証券が扱ったIPO株を参考に見ていきましょう。

auカブコム証券が扱ったIPO株

 

銘柄コード 銘柄名 市場 公募価格 初値 騰落率 上場日
7804 株式会社ビーアンドピー 東マ 2,000 2,400 120% 2019/07/24
7678 株式会社あさくま JQ 1,250 1,834 147% 2019/06/27
7677 株式会社ヤシマキザイ 東2 1,280 1,450 113% 2019/06/26
4443 Sansan株式会社 東マ 4,500 4,760 106% 2019/06/19
7065 ユーピーアール株式会社 東2 3,300 4,000 121% 2019/06/12
7674 株式会社NATTY SWANKY 東マ 3,270 3,930 120% 2019/03/28
1451 株式会社KHC 東2 850 832 -2% 2019/03/19
4436 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 東マ 1,050 1,400 133% 2019/03/19
7057 株式会社エヌ・シー・エヌ JQ 800 1,214 152% 2019/03/14
4434 株式会社サーバーワークス 東マ 4,780 18,000 277% 2019/03/13
1887 日本国土開発株式会社 東1 510 624 122% 2019/03/05
7050 株式会社フロンティアインターナショナル 東マ 2,410 2,715 113% 2019/02/28

4430 東海ソフト株式会社 東2 1,500 2,872 191% 2019/02/27
2971 エスコンジャパンリート投資法人 東証 101,000 97,200 -4% 2019/02/13

※騰落率とは価格がどれだけ変化したかを表すものです。

勝率85%となっていますね。
過去のデータからIPOの初値売りの勝率がいかに高いかがわかります。

初値売りのメリット・デメリット

メリット

公募価格よりも90%の確率で値上がりするので利益が見込めます。
初値で売ることが決まっているので精神的・作業的にかなり楽になります。初値売りをしない場合だと激しい株価の値動きを見て売りどきを決めなければいけないので精神的な負担が大きいです。

デメリット

強いていえば精神的なショックが大きいということです。
初値が公募価格よりも上回る可能性はかなり高いですがまれに公募価格割れが起きることがあるので、IPOはあくまで株式投資ということを忘れない事が重要です。

ゆうた(悩む)

ゆうた

公募価格割れする銘柄の特徴は何なんだろう?

公募価格割れする銘柄とは?

勝率90%といえど10%の銘柄は公募価格割れしています。公募価格割れする銘柄とは一体どんな銘柄なのでしょうか?

新規公開株数が多い銘柄

供給数が多い案件は希少価値が付きづらくなり、初値の高騰が見込みにくくなります。
以下は、2016年・2017年の公開株数で分類し、公募割れした銘柄数です。

公開株数 件数 公開割れの件数
50万株以下 67件 2件(3.0%)
50万株超100万株以下 37件 1件(2.7%)
100万株超500万株以下 46件 8件(17.4%)
500万株超1000万株以下 9件 3件(33.3%)
1000万株超 14件 9件(64.3%)

株価は需要と供給のバランスで決まります。
公開株式数が多いと供給量が増えることになるので株価が思った以上に上がらないことがあります。
公開株数が1000万株を超えたら注意が必要ですね。

東証一部(東証二部も)に上場する銘柄

東証一部では他の市場と比較すると上場時に大量の株式を発行する必要があります。流通単位は1単位100株が基本となっています。
下表の通り東証一部は基準となる流通単位が他の市場よりかなり高めに設定されているので新規公開株数が多い銘柄にもつながるのですが、株式数が過剰供給となる場合があります。

 

項目 東証一部 東証二部 マザーズ ジャスダック
株主数 2.200人以上 800人以上 200人以上 200人以上
流通単位 20,000単位以上 4,000単位以上 2,000単位以上 規定なし
流通株数比率 35%以上 30%以上 25%以上 規定なし
時価総額 250億円以上 20億円以上 10億円以上 規定なし

日本取引所グループ 上場審査基準

仮条件が想定価格よりも低めに設定された銘柄

想定価格とは上場申請に先駆けて企業と幹事証券会社で決定する価格のことです。仮条件は幹事証券会社が決定します。
上記の条件に該当した銘柄は公募価格割れする可能性が高いです。その場合は当選後にキャンセルすることもできるので安心してください。
キャンセルとは当選後に購入申込みをしないということです。証券会社によってはペナルティを課す場合もあるので注意しておきましょう。

  

ペナルティなし 野村證券 大和証券 SBI証券 マネックス証券 岡三オンライン証券 東海東京証券
ペナルティあり(一ヶ月間IPO抽選に参加できない) SMBC日興証券 三菱UFJ モルガン・スタンレー証券
キャンセル不可 auカブコム証券 松井証券 楽天証券

いかがでしたか?公募価格割れするIPOの特徴は掴めたでしょうか。
IPOの購入申込みをする前に見極めることができれば良いのですが実際問題難しいところではあります。
当選したIPOが公募割れの可能性が高いと予想できたらキャンセルも選択肢に入れて冷静に判断するようにしましょう。

初日に初値がつかなかった場合

では、次に上場日初日に初値がつかなかった場合を考えていきましょう。
上場初日の値段は、公募価格の4分の1から4倍の幅に制限されています。板寄せ方式で値幅制限内で約定価格が決まると初日に初値がつきます。つまり、値幅制限内で買いと売り注文のバランスが取れないと上場初日に初値がつかないことになります。
売り注文か買い注文どちらか一方に注文が多く偏っている場合、「特別気配」になり売買が一時停止されて翌営業日に取引が持ち越されます。

特別気配とは

①買い注文よりも売り注文が多すぎる ②売り注文よりも買い注文が多すぎる
①②どちらかの状態になっていることを示すものです。
特別気配は需要と供給のバランスが大きく乱れているので、適切な株価形成のために売買が一時停止されます。ちなみに特別気配になりやすい状況としては①人気IPOの上場日②会社が倒産間近の2パターンです。

つまり、IPOの上場日に初値がつかなかった場合は、極端に「買い注文」が売り注文より多い為、上場日に初値がつくことができなかったということです。(売り注文の方が多い場合もごくまれにあります)その場合、初値は翌営業日に持ち越されることになります。
公募価格よりもかなり高い価格で売れるので嬉しい悲鳴といえます。
この場合の対処法としては翌日に再注文をすることで解決します。IPO株の初値がつく前にできる注文の期間は「当日中」のみなのでIPO株を初値で確実に売るには、上場日の朝9時までに「成行」の売り注文を出しておけば大丈夫です。

初値で売らない場合(中長期保有)

初値で売らない理由としては、その企業に対して伸びしろを感じ保有したほうが利益を得れると見込んでいるからです。
初値で売らない場合の投資方法を解説していきます。

セカンダリーマーケット参入を狙う

IPOは上場後一時的に株価が下がる事が殆どですが、将来有望な企業ならば株価が再上昇する場合があります。それを狙ってセカンダリーマーケット参入を狙う方法もあります。
セカンダリーマーケットとは、株式発行後に一般的な株の売買が行われている流通市場のことです。
セカンダリーマーケットで株価の下落が落ち着いた頃合いを見計らって、マーケットに参入しても良いかもしれません。

NISAで長期保有

NISAとは、毎年120万円までの投資なら利益にかかる税金が非課税になる少額投資非課税制度のことです。
IPOはNISAの口座から購入し、長期的に保有することができます。
「何年もかけて成長を見守りたい」と思うような銘柄の場合はNISAも候補に入れてみてください。
IPO投資ができるNISA口座について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
NISA口座でIPO投資をしたい

初値売りの成行注文はいつからできる?

初値売りをするためには、は上場日の初値がつく前に成行で売り注文を出す必要があります。
成行注文の発注時間は証券会社によって異なるので下の表でチェックしておきましょう。

証券会社 成行注文の発注時間
マネックス証券 上場日の前営業日の17時ころ。
松井証券 上場日の前営業日の17時ころ。
楽天証券 上場日の前営業日の17時以降。
SBIネオトレード証券 上場日の前営業日の16時から。
auカブコム証券 上場日の前営業日の16時以降。
sbi証券 上場日の前営業日の翌日の朝4時ころ。
複数の市場で上場する場合は、上場日当日の朝8時ころ。
野村證券 上場日の前営業日の翌日の朝6時以降。
SMBC日興証券 上場日の前営業日の翌日の朝6時以降。
岡三オンライン証券 上場日の朝6時から。
みずほ証券 上場日の朝6時から。
大和証券 上場日の朝6時から。
GMOクリック証券 上場日の前営業日17時(一括処理終了後)から。
DMM株 上場日の前営業日16時から。

※上場日の前営業日の翌日とは、20日(月)が上場日の場合、前営業日17日(金)の翌日である18日(土)のことです。

まとめ

いかがでしたか?
IPOの売り方は基本的に「初値売り」がベストな選択といえます。

次の記事ではIPOの当選確率について言及していきます。